サブマリン
伊坂幸太郎さんの作品が好きというお話は、
何度かブログの中で書かせていただいています。
→『意味なんか』『経験していないことは語るべきではない』
→榊原一樹の『趣味』
友人から、
「どの作品が一番好き?」と聞かれ、
ここ数年、ずっと過去の作品を読み直しています。
今日はその中の『サブマリン』という作品から。
家庭裁判所の調査官・武藤が今回担当する少年は、
無免許運転で死亡事故を起こしてしまった19歳の少年。
最初は何も語らない少年の心を少しずつ開きながら、
最後に分かる真実は・・・。
このストーリーの中に登場するちょっと癖の強い上司・陣内さん。
適当に見えて、
少年達のためにこっそり奮闘していたり、
気怠そうに放つ言葉に物事の真理みたいなものがごっそり詰まっていたり。
その陣内さんの厳しくも温かい言葉を3つほど。
夢を諦めるな、努力を忘れるな、人の嫌がることをするな、
といった「教え」よりもとにかく、
「相手の大事なものを蔑ろにするな、ってことだ」と。
別に悪いことじゃねえんだよ。
身勝手で臆病なのは、動物の正しいあり方だ。
それを認めた上で、どうやって、それなりに穏やかな社会を作るかだ。
知らなくてもいいけどな、麻雀は四人でやる。
でな、俺たちはな、見えない相手にずっと麻雀の勝負をしているようなもんだ。
最初に十三枚の牌を配られて、
それがどんなに悪くても、そいつで上がりを目指すしかない。
運がいい奴はどんどんいい牌が来るだろうし、
悪けりゃ、クズみたいなツモばっかりだ。
ついてない、だとか、
やってられるか、だとか言ってもな、
途中でやめるわけにはいかねえんだ。
どう考えても高得点にはならない場合もある。
けどな、できるかぎり悪くない手を目指すほかないんだよ
真実を探っていく内に、
色々な不条理に直面したり、
泣きたくなる様な事実にぶつかったりしていくのですが、
ふと放たれる陣内さんのこれらの言葉に、
ちょっと救われたりします。
文庫の裏表紙に、
「読み終えた瞬間、
今よりも世界が輝いてみえる大切な物語」と書かれていますが、
まさにその通りで。
今のご時世に、
そして自分の色々と思うところに重なっていたりもしたので、
このタイミングで読み直して良かったなと思います。
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ここがあなたの心の寄り処になれますように。
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