触れて、確かめる。

走る。
少しの筋肉痛と疲労との相談。
出足は腿の付け根と左の脹脛に重さ。
6年前にケガをして、
2年前に再発した右の膝も気にする。

 

これはいつかのエレベーターが苦手だった頃の話。
狭い所が嫌いな訳じゃなかった。
不特定の知らない人と乗り合わせる密室が苦手だったと知った。
落ち着かない。
汗が出る。
不安。
降りたい階より早く降りる。

 

走る。
今日は少し早めにランニングハイになりそう。
呼吸。
軽め。
かかとから拇指級までしっかり付けて、
静かに接地する。

 

これは10年位前の東急東横線で通勤していた頃の話。
6~7時を跨ぐ平日の朝。
満員。
横浜~渋谷までの通勤。
押し詰めにされること自体は平気だった。
感覚過敏な僕は、
目、声、音、匂い、温度・・・
望まずしても入ってくる色々な情報で、
パニックに陥った。
止まらない、汗。
降りる?降りられない。

 

走る。
急遽お誘いを受けて、
2週間後に1年振りにバレーボールをするための準備。
身体の確認。

 

試す。
どんなエレベーターもダメなのか。
ひとりなら平気なのか。
知り合いと一緒なら平気なのか。

 

走る。
あえてでこぼこの道を選んでみたりして、
咄嗟の傾きや柔らかさに対応できるのか。
うん。
良い感じだ。
もう膝への怖さはない。

 

特急や急行は混むから、
少し早めに準備をして、
各駅停車で行ってみる。
座れるなら端っこに座る。
車両間の少し涼しいところを選ぶ。
目を瞑る。

 

走る。
向かい風が緩んだ。
今日は少し遠くまで走ってみよう。
張りは腿裏に出てきたくらい。
何だろう、あの大きな鳥は?
あ、飛んでいっちゃった。

 

ガラス張りのエレベーターは楽しい。
少しずつ慣れる。
ボタン押す係になろう。
端っこ。
気楽。
自分のペース。
もう大丈夫。

 

走る。
川沿いのコンクリート。
さすがにここは植物が生い茂り過ぎて通れない。
折り返す。
呼吸。
初夏の匂い。
ちょうど良い時間だ。

 

時間に余裕を持って、
場所を選べば大丈夫になってきた。
誰かと出掛ける時は大丈夫みたいだ。
いつもの場所に座れなくても、
候補は何個かある。
イヤホンで耳を塞ぐ。
目からの情報が多すぎる時のために、
ダテ眼鏡をしたり、
各駅停車でゆっくり居眠りしたり。
181㎝の身長のおかげで、
立っているときは冷房がよく当たる。
大丈夫。
もう立ち眩んだり汗が止まらなくなったりしない。

 

 

不安や怖さ。
どう考えるか。
どう感じるか。

 

心にも、身体にも、
少しずつ、
触れてみて、聴いてみて、
確かめる。

 

今日も考えて、感じる。
ペースは自分次第で。

 

◎関連ブログ『考えるし、感じる

 

投稿者プロフィール

榊原一樹
榊原一樹くれたけ心理相談室札幌支部 心理カウンセラー
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